Photo:谷岡康則 Yasunori Tanioka
「残像の花」和田みつひと
展覧会の会場となったGallery Cocon古今は、仏教美術と現代美術を主要なものとして展示している。エントランスから階段で最上階の3階に上がる過程に、作品を展示する白壁と展示ケース、小部屋が配置されている。そして、三階に上がると空中庭園の石庭を挟んで奥に茶室がある。エントランスの日常的な空間から、階段を上り石庭を経て、非日常的な空間の茶室へと至る過程が、日本の庭-露地(茶庭)のように感じた。あたかも、露地口から中潜りを経て躙口から茶室へと至る露地(茶庭)のように、1階のエントランスから3階の茶室へ至る過程空間(sequence)を、光と色のインスタレーションにより空間構成し、作品にしたいと考えた。
古い日本の住宅では、屋内から庭の自然を眺め、自然と共生をしてきた。そもそも、日本における環境(自然)の「見かた」とは、環境に「包含」されることへの母性的な志向を基盤に、視点は環境の内部にあり、視線の方向は水平的である。環境内部からの視点による、水平的な視線とは、かつて自然=神と共生する視線であり、人とも共生する視線だったはずである。
現在でも、私たちは日本的な環境の「見かた」を継続して持ちながら生活をしている。しかし、今日、数十年前までは見ることのできた縁側や庭は、日本の現代住宅ではほとんど消滅し、欧米式の個室を中心とした住宅空間に変化してきている。近代化し欧米化した生活の中で、見過ごされがちな環境の「見かた」でもある。今日、様々な環境問題が取りざたされ、人との関係の希薄さが危ぶまれる。日本列島で培われた環境の「見かた」、すなわち人と自然(環境)との共生を喚起させる、光と色によるインスタレーションを試みた。
□関連イベント
■ワークショップ「段ボール箱でつくる光と色の部屋」
会期:8 月2 日(金) 15:00-18:00 無料
■コラボレーション・イベント
会期:8 月10 日(土) 15:00- 無料
出演:藤由トモコ(dance) 千葉広樹(Wb& Electronics) 池澤龍作(dr) 藪野麻矢(衣裳)