Photo:谷岡康則 Yasunori Tanioka
「green/green」 和田みつひと
慶応義塾大学美学美術史学研究会(担当:近藤幸夫准教授)の学生有志グループと共に、DM、ポスター、チラシ等のデザイン、広報戦略、講演会、ワークショップ、レセプションなど展覧会運営の全てを実践した。
四方がガラス張りというギャラリーの特徴を活かし、そのガラスをピンク色のカラーシートで覆うことで、色づいた光が充満する空間へと変容させた。ギャラリーを取り巻く銀杏並木の新緑の色に対比させ、補色であるピンク色の透明フィルムをガラス前面に貼った。ピンク色のガラス面が互いに干渉し、ガラス越しに見えるピンク色の光景と反射して映るピンク色の光景が複雑に重なり合い、刻々と変化する外光の影響だけではなく、観る者の移動により見え方が変化した。
また、ピンク色の光に包まれた空間に留まると、ギャラリーの出入り口から覗く外の景色が緑一色に見えた。これは補色残像という生理現象によるもので、人間の目はひとつの色を見続けると、その補色が見えてくる。
ピンクとグリーンという色彩の対比によってより際立つのは、葉の生い茂る銀杏並木です。プロジェクトのタイトル「green/green」が示すものは、青々とした初夏の新緑という銀杏並木の表情であり、日頃見慣れた並木道の景色を変化させる試みである。